9月16日から、高校生の採用選考が始まります。
この日から試されるのは、生徒の力ではありません。会社の段取りのほうです。
北海道では10月31日まで、高校生は1社にしか応募できないからです。御社が結果を返すまで、その生徒は次の会社を受けられません。
代表の三宮は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場に立ってきました。見続けてきたのは「人が働き続けられる条件」です。株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、その知見をもとに中小企業の採用・定着を支援しています。健康経営と採用設計の両面から手を打つのが私たちのやり方です。本稿では高卒採用の期日を、御社の段取りの問題として整理します。
この記事の要点
- 北海道では9月5日から10月31日まで、生徒の応募は1人1社。11月1日以降は1人2社まで(北海道高等学校就職問題検討会議・申合せ)
- 選考結果は1週間以内を目途に、書面で高校を経由して通知する。やむを得ない場合でも10日以内
- 北海道の高卒求人は1万7,450人分。希望した生徒は4,686人(厚生労働省・令和8年3月末現在)
制度の前提: 令和9年3月卒の選考・採用内定開始は2026年9月16日。求人公開は7月1日、推薦開始は9月5日(出典は記事末尾)。
北海道では、10月31日まで高校生は1社にしか応募できない
高校生の就職活動には、大学生にはない制限があります。
北海道高等学校就職問題検討会議は、令和9年3月卒の生徒について、こう申し合わせています。生徒の応募・推薦は、推薦開始日から10月31日までは1人1社。11月1日以降は1人2社まで、という内容です。
推薦開始日とは、高校から企業へ応募書類を出せる日のことです。北海道では9月5日でした。
つまり、いま御社の手元に応募書類が届いている生徒は、ほかの会社を受けていません。
| 時期 | できること | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年7月1日 | 求人公開開始。企業から学校への求人申込・学校訪問が可能に | 申合せ・スケジュール |
| 2026年9月5日 | 推薦開始。ここから10月31日までは1人1社 | 申合せ 1(1) |
| 2026年9月16日 | 選考開始・採用内定開始 | 申合せ・スケジュール |
| 2026年11月1日 | 1人2社まで応募・推薦が可能に | 申合せ 1(1) |
出典:北海道労働局「令和9年3月新規高等学校卒業者の就職に関する申合せ」(令和8年3月4日)
この制限は法律ではありません。申合せは2種類あります。日程を決めるのは、全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省の協議です。応募できる社数を決めるのは、都道府県ごとの高等学校就職問題検討会議です。本記事の社数は北海道のものです。当初から複数応募を認める地域もあります。
結果通知が遅れるほど、その生徒の進路は止まる
1社しか受けられない。それは、結果が出るまで動けないということです。
北海道労働局は、この点をはっきり書いています。選考日や選考結果の通知が遅いこと。応募日から選考日までの期間が長いこと。生徒の応募機会を奪い、進路決定に深刻な影響を及ぼす、と。
だから、期限が置かれています。
| 企業がすること | 期限 | 方法 |
|---|---|---|
| 選考日を生徒に伝える | 速やかに、かつ確実に | 高等学校を経由 |
| 選考結果を生徒に伝える | 1週間以内を目途(やむを得ない場合でも10日以内) | 書面により高等学校を経由 |
| 生徒からの意思表示を受ける | 内定を受けた日から2週間以内 | 高等学校を経由し、承諾書または辞退書 |
出典:同申合せ 4・5
不採用の通知も同じ期限です。むしろ不採用のほうが急ぎます。通知を受け取って初めて、次に動けるからです。
急性期病院のリハビリ室で、働き盛りの方を数多く担当してきました。「この仕事しかやってこなかった」と話す方に、何度も会っています。18歳で選んだ1社が、その人の職業人生の土台になっていました。
これは私の見立てですが、高卒採用の選考は「会社が生徒を選ぶ場」ではありません。1人の18歳の進路を、御社の判断が何日止めるかを決める場です。
そもそも、生徒の数が足りていない
結果を早く返すことが、なぜ採用力になるのか。北海道の数字に理由が出ます。
北海道の高校新卒者 求人・求職状況(令和8年3月末現在)
出典:厚生労働省「令和7年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況(令和8年3月末現在)」
1万7,450人分の求人に対し、就職を希望した生徒は4,686人でした。
この年度の北海道の就職内定率は98.7%。生徒はほぼ全員が決まります。決まらないのは企業側です。
母数が構造的に足りていません。だからこそ、1通の応募書類の重さが変わります。
ここまでの整理
10月31日まで、生徒は1人1社。結果通知が遅れた日数だけ、その生徒の進路は止まります。北海道の高卒求人は求職者の約3.7倍。1通の応募書類の扱いが、そのまま採用力になります。
求人票の「複数応募」欄を、可にするか不可にするか
11月1日以降、生徒は2社まで応募できます。ここで内定辞退が起こります。
申合せには、企業側の選択肢が書かれています。内定辞退で採用活動に支障が生じる等の、特別の事情がある場合です。11月1日以降も単願者のみの応募を希望するなら、求人票の「複数応募」欄に「不可」と明記します。単願者とは、御社だけを受けている生徒のことです。
「不可」を選ぶと、辞退される可能性は下がります。申合せに定めがあるためです。「不可」の求人で内定を受けた生徒は、特別の事情等がない限り承諾する、という内容です。
一方で「不可」は、応募の入口を狭めます。11月1日以降に動くのは、9月・10月で決まらなかった生徒です。その層に2社目として選ばれる道を、自分で閉じます。
判断材料は、いま御社に応募が来ているかどうかです。
応募が集まっていて欠員が痛い会社なら「不可」が働きます。応募が0または1人の会社なら、私たちなら「可」を勧めます。辞退より、応募0のほうが痛いためです。
求人票の中身は書き直せる5箇所にまとめました。
9月16日からの4手
やることは4つです。紙とカレンダーで足ります。
| 手順 | やること | 時期 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 1 | 選考日を確定し、高等学校を経由して生徒に通知 | 今週 | 採用担当 |
| 2 | 選考結果の通知日を、選考日から1週間以内で先に決める | 今週 | 採用担当 |
| 3 | 結果通知の書面を、採用と不採用の両方用意する | 今週 | 採用担当 |
| 4 | 内定後2週間の連絡担当を1人決め、名前を生徒に伝える | 9月中 | 社長 |
要は手順2です。
結果通知が遅れる会社は、迷って遅れるのではありません。通知日を決めていないから遅れます。選考日と同時に通知日を決めれば、判断はその日に間に合います。
手順4も見落とされます。生徒は内定後の2週間、不安の中にいます。窓口が誰かわかるだけで、承諾の判断は変わります。
熱意が裏目に出る落とし穴があります。
卒業前に「内定式」「親睦会」等への参加を依頼することです。卒業までは学業専念期間だという前提があります。北海道労働局は、これが学業に支障を来すとして配慮を求めています。
入社前の接点は、学事日程に響かない形で設計してください。内定から入社までは内定〜入社の空白期間、入社後の受け入れは配属初日の設計で整理しています。面接での線引きは健康のことは、どこまで聞いていいのかにまとめました。
もし1つだけ持ち帰るなら
今週、紙に日付を2つ書いてください。選考日と、その1週間以内の結果通知日です。この2つが決まれば、社内の段取りは後から埋まります。
よくある質問
Q. 高校生は何社まで応募できますか?
A. 北海道では、推薦開始日から10月31日までは1人1社、11月1日以降は1人2社までです。就職面接会での応募は、期間にとらわれず1人2社以上できます。社数も期日も都道府県で異なります。
Q. 選考結果は、いつまでに通知する必要がありますか?
A. 北海道の申合せでは、1週間以内を目途に、書面により高等学校を経由して通知します。応募者が多数であるなど、やむを得ない場合でも10日以内です。
Q. 内定者に、入社前の内定式や親睦会へ来てもらうことはできますか?
A. 卒業までは学業専念期間です。北海道労働局は、卒業前の「内定式」「親睦会」等への参加依頼が学業に支障を来すとして配慮を求めています。
Q. 高校生の応募が1人も来ませんでした。今からできることはありますか?
A. 11月1日以降は1人2社まで応募が認められ、9月・10月で決まらなかった生徒が動きます。求人票の「複数応募」欄と、結果通知日の示し方を先に決めてください。
最後に — 人材課題を抱える中小企業の経営者様へ
高卒採用は、応募が来るかどうかで語られがちです。ですが申合せが求めているのは、別のことでした。
選考日を早く伝えること。結果を1週間以内に返すこと。承諾までの2週間、窓口を空けておくこと。どれも費用のかからない段取りです。
18歳の生徒とその高校は、御社の連絡の速さを見ています。来年また求人票を出したとき、その記憶が残ります。
選考日と結果通知日を決め、通知の書面を先に用意する。DIALOGは作業療法士23年の臨床知見をもとに、貴社の採用・定着を支援します。健康経営優良法人の取得支援まで、一貫して伴走します。