若手が最初の会社をやめた理由の1位は、賃金ではありませんでした。
厚生労働省の調査では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%で最多です。賃金は21.8%で、3位でした。求人票の休日欄は、それだけの重さを持つ行だと考えています。
代表の三宮は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場に立ってきました。見続けてきたのは「人が働き続けられる条件」です。株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、その知見をもとに中小企業の採用・定着を支援しています。健康経営と採用設計の両面から手を打つのが私たちのやり方です。
本稿では、自社の休日を「応募者から見える数字」に翻訳します。使うのは厚生労働省の一次資料だけです。
この記事の要点
- 若手が最初の会社をやめた理由の1位は「労働時間・休日・休暇」で28.5%。賃金21.8%より上
- 「週休2日制」を名乗る企業は92.6%。うち毎週2日の完全週休2日制は65.5%で、差は27.1%
- 完全週休2日制は1年で56.7%から65.5%へ。相場は自社の数字より速く動く
制度の前提: 法律上の休日の下限は労働基準法第35条。毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上です(出典は記事末尾)。
若手がやめた理由の1位は、賃金ではありませんでした
順位から確かめます。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」は、在学していない若年労働者に質問しています。初めて勤務した会社をやめた理由を、3つまで選ぶ形式です。
初めて勤務した会社をやめた主な理由(3つまでの複数回答)
出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
1位と3位の差は6.7ポイント。賃上げより先に、休日の話が来ています。
勤続期間で切ると、景色が変わります。1年未満でやめた層は「人間関係」が最多でした。1年から10年未満の層では「労働時間・休日・休暇」が最多になります。
歓迎会や声かけで持ちこたえるのは、最初の1年まで。その先で効くのはカレンダーの数字です。若手の定着は2段構えで、1段目が関係の設計、2段目が休日の設計になります。
1段目はオンボーディング|配属初日の受け入れ設計で扱いました。本稿は2段目です。
「週休2日制」を名乗る企業の3割近くは、毎週2日ではない
求人票の4文字には、2つの意味が同居しています。「令和7年就労条件総合調査」で確かめます。
主な週休制の形態別・企業割合(令和7年調査)
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」。「実質的に少ない制度」とは月3回、隔週、月2回、月1回の週休2日制等
92.6%から65.5%を引くと、27.1%が残ります。週休2日制を名乗る企業のうち3割近くは、毎週2日ではありません。
求人票に「週休2日制」とだけ書いたとき、応募者から見れば、どちらとも読める行になります。従業員30〜99人では、完全週休2日制は62.6%です。
法律の位置も確かめます。労働基準法第35条第1項は、毎週少なくとも1回の休日を求めています。第2項により、4週間を通じて4日以上を与える場合は第1項が適用されません。
下限は週1日。週休2日は義務ではありません。義務でないからこそ、条件として比較されます。
ここまでで覚えてほしい1行。「週休2日制」は制度の名前であって、休める日数ではありません。日数を伝える語は、年間休日総数のほうです。
相場は1年で8.8ポイント動きました
自社の数字より速く動くものがあります。世間の相場です。完全週休2日制の企業割合は、令和6年調査の56.7%から令和7年調査の65.5%になりました。なお同調査は毎年標本が入れ替わる標本調査です。単年の差には、標本の入れ替わりも含まれます。
年間休日総数も1企業平均112.4日となり、同調査は昭和60年以降で最多としています。
| 企業規模 | 完全週休2日制 | 1企業平均年間休日 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 77.9% | 117.7日 |
| 100〜299人 | 70.7% | 114.5日 |
| 30〜99人 | 62.6% | 111.2日 |
| 全体 | 65.5% | 112.4日 |
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(年間休日は令和6年1年間)
従業員30〜99人の平均は年間111.2日。ここが多くの中小企業の現在地です。ただし調査対象は常用労働者30人以上の企業なので、それ未満の会社は目安として見てください。
DIALOGの立ち上げ前後、2026年の初頭から5月にかけて、北海道の中小建設業の経営者や関係者と対話を重ねました。その中で、複数の方から繰り返し聞いた言葉があります。「残業や休日出勤なんて昔からで、うちの業界では当たり前」。
長く続いてきた事実は、そのとおりです。ただ、比較の相手は業界の中にいません。若手は業種をまたいで求人票を並べます。相場が1年で8.8ポイント動くのなら、据え置きは後退と同じ意味を持つように感じています。
休日を増やせないときに、動かせる数字があります
年間休日そのものを増やすのは、工期と人員の制約があると簡単ではありません。もう1本、動かせる数字があります。年次有給休暇です。
同じ調査で、建設業の労働者1人平均は付与18.3日・取得11.1日・取得率60.7%でした。全産業計は付与18.1日・取得12.1日・取得率66.9%です。
並べると、ねじれが見えます。付与日数は全産業計を0.2日上回り、取得日数は1.0日下回ります。与えられている日は少なくありません。使われていないだけです。
この差は、新しい制度を作らなくても動かせる余地だと考えています。取得日数は求人票にも書けます。ユースエール認定でも、有給の基準は「取得率70%以上、または平均取得日数10日以上」という二択です(ユースエール認定|線は離職率20%以下)。規模別のねじれは有給休暇|制度を入れているのは中小企業で扱いました。
来週から動かせる3つの手順
数える、書き直す、足す。順番があります。
| 手順 | やること | 使う書類 |
|---|---|---|
| 1. 数える | 今年度の会社カレンダーで年間休日総数を数え、111.2日と比べる | 就業規則の休日条項、会社カレンダー |
| 2. 書き直す | 求人票の休日欄に「年間休日◯日」を併記する。隔週なら隔週と書く | 求人票、ハローワークの求人申込書 |
| 3. 足す | 有給の平均取得日数を出す。10日に届かなければ計画的付与などで近づける | 年次有給休暇管理簿 |
手順1で出た日数が、手順2でそのまま応募者に届く数字になります。ここを曖昧にすると、面接で必ず聞かれます。
手順3は健康経営の側から見ても意味があります。休めない状態が続くと、健診で見つかった所見への対応も後回しになります。急性期医療の現場で見てきた限り、受診の遅れは休みの取りにくさと重なる印象があります。
求人票の直し方は建設業 求人票 健康経営、若手が辞める時期の特定手順は建設業の離職率|辞める時期の特定法にまとめました。
よくある質問
法律上、週休2日にしなければいけないのですか?
義務ではありません。労働基準法第35条第1項は毎週少なくとも1回の休日を求め、第2項により4週間を通じて4日以上を与える場合は第1項が適用されません。週休2日は下限ではなく、比較される条件です。
「週休2日制」と書けば、毎週2日休めるという意味になりますか?
同じとは限りません。令和7年就労条件総合調査では何らかの週休2日制が92.6%、うち完全週休2日制は65.5%。差の27.1%は月3回・隔週・月2回・月1回の週休2日制などです。年間休日総数の併記が確実です。
年間休日の全国平均は何日ですか?
同調査では令和6年1年間の1企業平均が112.4日、労働者1人平均が116.6日。企業規模30〜99人では111.2日でした。同調査の概況に産業別の掲載がないため、建設業だけの平均値は示していません。
年間休日を増やす余力がありません。ほかに手はありますか?
年次有給休暇の取得日数を動かす方法があります。同調査の建設業は付与18.3日・取得11.1日・取得率60.7%。付与は全産業計18.1日を上回り、取得は12.1日を下回ります。使われていない日数が余地です。
最後に — 数えることから始まります
若手がやめた理由の1位は、労働時間・休日・休暇。28.5%で、賃金より上にありました。
「週休2日制」という制度名は、休める日数を伝えません。伝えるのは年間休日総数です。相場は1年で8.8ポイント動きました。数えないまま据え置くと、差は静かに開きます。
まず、今年度のカレンダーで日数を数えてください。その1つの数字が、求人票と面接と、来年の定着率を動かす起点になります。